父の最後のイチゴ

GWの半ば、例年通り母が収穫したイチゴを送ってくれました。

これでもかというくらい、がっちりとガムテープで巻かれたダンボールを開けた瞬間、甘〜いイチゴの香りがして、リリーはもう自分の好物を察知してスタンバイ。詰めすぎるとイチゴが傷んじゃうからと毎年母に伝えますが、今年も真っ赤なイチゴがびっしりときれいに整列しています。

早速水洗いし、イチゴの成熟具合や傷の有無を見ながら選別して、お裾分け用やすぐに食べるもの、冷凍してミックスジュースにするものなどカテゴリーわけ。もうキッチンはイチゴの香りで充満しています。

父は定年に達した頃から念願の家庭菜園をご近所の同年代の方々と始めました。

初めはトマトやキュウリなどから初め、新しい季節が来るたびに種類がどんどん増えていきました。この時期ならイチゴの他に、春キャベツ、スナップえんどう、えんどう豆、そら豆など。母から明日送るよーとの電話を受けると冷蔵庫と冷凍庫のスペースを確保し、届くとテレビを見ながらひたすらえんどう豆の皮むきです(笑)

父との話は決まって野球か、野菜や果物の収穫時期。年を通して四六時中畑にいるため耳、首、手が真っ黒に日焼けしていて、足の白さとの違いに大笑い。定年後時間を費やす趣味ができて良かったと家族で安心したものの、真夏の炎天下でも帰ってこないので、母から夏の12:00 – 15:00は出禁をくらってました。

自慢の野菜をご近所へお配りするのが楽しみらしく、お正月前の恒例は、白菜、大根、水菜などのセットをおすそ分けするのが年末最後の父のお仕事になっていました。

そんな元気で、誰にでも優しい父が去年の夏肺がんと診断を受け、80歳誕生日を迎えた後、12月初めに静かに自宅で家族全員に見守られながら息をひきとりました。

父が最後に畑に行ったのは昨年11月初め、ちょうどイチゴの苗を植えるタイミングでした。10年以上毎年イチゴを食べさせてもらっていましたが、初めて私も苗を植えるところからのお手伝いでした。母が畑の一部を引き継ぎ、今年もイチゴが届きました。父が手がけた最後のイチゴです。

もちろんリリーにも。大好物だもんね。

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